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1970年、国際結婚がごく稀だった時代、26歳の山内政子さんは初対面のスペイン人男性と挙式した。家族からは勘当され、社会の偏見にも直面したが、彼女は異国の地で半世紀におよぶ結婚生活を選んだ。現在82歳となる政子さんは、当時の決断を後悔していないという。
挙式から間もなく、政子さんは夫と共にスペインへ渡った。言葉も文化も違う環境での生活は想像以上に厳しく、何度も離婚を考えた時期があった。それでも、彼女は夫を支え続けた理由について「彼が私を必要としていたから」と静かに語った。
家族の反対を押し切っての結婚だったため、長い間実家との関係は断絶していた。政子さんは「両親には申し訳ないことをしたが、自分の人生は自分で決めたかった」と振り返る。国際結婚に対する世間の冷たい視線にも耐えながら、彼女は徐々にスペイン社会に溶け込んでいった。
夫が病に倒れたのは結婚から約40年後のことだった。政子さんは献身的に介護を続け、最期の瞬間まで夫のそばを離れなかった。「離婚も考えたけど、最後まで一緒にいてよかった」と彼女は目を潤ませる。50年の結婚生活には、伝えられなかった言葉も多くあったという。
現在、政子さんはスペインと日本の両方を行き来しながら暮らしている。彼女は「人生は選択の連続。後悔しない道を選ぶ勇気が大切」と語り、若い世代に国際結婚への理解を訴えている。激動の50年を経て、彼女の胸には今もスペイン語で綴られた夫への感謝の言葉が響いている。